2011年9月5日月曜日

銀しゃり

銀しゃり 山本一力 著



最後まで痛快、読後感はスッキリ、ビシッっと筋の通った鮨職人のお話です。様々なアイディアを取り入れながら成長していく職人の姿が面白い。それを現代に働くビジネスマンに重ね合わせてしまうのは私だけではないでしょう。

そのアイディアのひとつに「柿の酢」が登場します。酢飯を作るための合わせ酢に使用するのですが、江戸の当時は砂糖が高価で、その代用として柿の皮を利用し甘みを補う下りが物語中にあります。簡単なレシピが会話の中から読み取れます。
「…一合の酢に四十匁の砂糖が入り用なんでさ」
「ならば柿の皮を酢に漬けてみろ、砂糖の量が半分に減るやもしれん…漬けてふた月が頃合いだろう」
ということは、
一合(180ml)の酢、二十匁(75g)の砂糖、柿の皮(この量が秘伝ですねw)
この割合でふた月、冬場なので冷暗所で保管というところでしょうか。

とここで疑問に思ったのですが、これは果たして発酵していたのかどうかというところ。
酢というのは乳酸発酵が終わり酢酸発酵の工程を経てできるもの。酢という酸性の水分中で、柿に付着する野性酵母と柿の皮の糖分が改めて発酵できたのかが少々疑問です。発酵ができないのであれば、この柿の酢は、単に米酢に柿の皮の甘みと香りが移ったものと考えられます。

そこで探したらありました、発酵させて作る柿の酢。そしていろいろな作り方がある中で、イーストも酒も使わない、柿だけでつくる柿の酢
このレシピを載せてくださっているタノさんはかなり気合いが入ってます!
前回のハマナさんが海辺のDIYの実践者なら、この方は山のDIYエキスパート。DIYベースが身についている人ですね。ちょっと彼の生活を書くWEBを読み始めたら、生い立ちからスゴイので時間のあるときにじっくり読みたいです。

柿のシーズンになってきたら梨の乳酸発酵のときようにやってみようと思います(無農薬の田舎の庭になっている柿を手に入れよう)。


それからこの本に出てくる三ツ木鮨と主人公の新吉は実在する人物をモデルにしています。店の名前も人の名前も本当の名前です。その方と話しているうちに物語の内容がふくらんでいったようです。これはラジオのJ-WAVEで聴いたインタビューで知ったものでした。


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